平成31年度 大阪府公立高校入試 作文・小論文
(令和元年度入試の対策)
平成31年度の入試では、作文問題は大問五として出題されました。出題形式は、指定された条件を満たしつつ、自分の意見を述べるという小論文形式です。
今年度はそれぞれの問題で「資料」が与えられ、そこから読み取れることを踏まえて文章を作る形式となりました。昨今、ますます重要視されている「資料を読み取る」力が試される問題だったといえるでしょう。
文字数に関しては、B問題が260字、C問題は300字と昨年と同様でした。また、配点はB問題で20点から18点に引き下げられました。C問題は例年同様20点でした。
注1 Webページで表示するため、「原稿用紙の正しい使い方」とは異なる改行などがあります。
注2 一部、著作権等の問題により図は表示できません。
以下、平成31年度 大阪府学力検査から抜粋
B問題
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、外国人観光客のさらなる増加が見込まれています。
そこで、ピクトグラムを利用した案内用記号の充実が図られています。
ピクトグラムを利用した案内図記号の活用について、あなたはどのような点に注意するべきだと考えますか。
あなたの考えを別の原稿用紙に二百六十字以内で書きなさい。
ただし、次の条件にしたがって書くこと。
【条件】
次の資料から読み取れる、ピクトグラムの課題や問題点についてもふれて書くこと。
【資料(アンケート調査の結果)】
分かりやすいのはどちらか
(日本の温泉マーク) (温泉に人が入っているマーク)
JIS(国内規格) ISO(国際規格)
JIS | ISO | |
日本人 | 62.9% | 37.1% |
外国人 | 29.1% | 71.0% |
(ここでいう外国人とは、韓国、中国、台湾、シンガポール、アメリカ、イギリスの六つの国・地域の人のことである)
私は、ピクトグラムによる案内用図記号について、外国人が分かりやすい図になっているかに注意する必要があると思います。
資料によると、外国人にとっては、JISの温泉マークよりもISOの方が分かりやすいことが読み取れます。現在、日本ではJISの温泉マークが地図記号など多くの場合に用いられています。しかし、外国人観光客を意識するなら、ISOの方がよいでしょう。
他のマークも同様です。日本でよく使われているマークが、外国人に理解されやすいとは限りません。外国人が容易に理解できるようにデザインを考えるべきだと思います。
C問題
次の資料Aは、オランダの歴史学者であるヨハン・ホイジンガが著した『ホモ・ルーデンス』の冒頭の一文であり、資料Bは、平安時代末期に編まれた『梁塵秘抄』に収められている歌の一つである。
これらの資料からあなたが考えたことをもとにして、「遊び」とはどのようなものなのかということについて、別の原稿用紙に三百字以内で論じなさい。
ただし、あとの条件1・2にしたがって書くこと。
【資料A】
遊びは文化より古い。
【資料B】
遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけん
遊ぶ子供の声聞けば わが身さへこそ揺るがるれ
(現代語訳)遊びをしようとして生まれてきたのであろうか、たわむれをしようとして生まれてきたのであろうか。無心に遊んでいる子供たちの声を聞くと、自分の身体までが自然と動き出すように思われる。
条件1 資料A、Bの少なくとも一つについてふれること。ただし、どの資料を参考にしたのかわかるように書くこと。
条件2 資料からあなたが考えたことを論拠とすること。
遊びは、人間が生きていくために行う訓練の一つだと私は考える。
資料Aから、遊びは文化のできる前からある行動だと読み取れる。言い換えれば、文化よりも本能的な行動だといえる。
遊びには二つの効果があると思う。一つ目は、遊びによって身体能力を高めるという効果である。逃げたり追いかけたり隠れたりと、遊びには様々な種類の複雑な動きが含まれ、生存能力が上がる。
二つ目は、人間が社会生活をするうえで必要な、他者と協力し、良好な関係を維持する力を身に付けるという効果である。子供が遊びを盛んにする頃は、人間関係で色々な問題が起こることは多い。
私は、遊びとは、人間が生き残るために身に付けた知恵なのだと思う。
解説
全体
読解問題は多少急いで解くことも出来ますが、作文問題はどれだけ急いでも完成させるまでにある程度の時間がかかります。試験が始まったらすぐに作文から取り掛かることで、作文を確実に解き切ることができ、全体の時間配分が調整しやすくなります。そのためには、作文に掛ける時間をあらかじめ決めておき、常にその時間内で解き終われるように練習しましょう。
作文問題で最も重要なポイントは、題意をおさえた解答を作成することです。書くべき項目をもれなく十分に書いていれば、作文問題で大きく失点することはありません。
慌てず問題をよく読み、何を聞かれているか、何を書けばよいかを冷静に判断しましょう。問題文を読みながら、書くべきことを簡単に箇条書きでメモすると整理しやすく、また書き忘れも防げます。
また、以下の資料によると、作文の点数の三割程度は「表記」の配点となっています。原稿用紙の正しい使い方や誤字・脱字、文法の誤りには十分気を付けて取り組み、できればサッと読み直して間違いを直しましょう。
B問題
B問題では、与えられた資料の意図が分かりやすく、表を正しく読み取ることができれば作文の方針は立ちやすかったと思います。課題や問題点について、自分の意見をしっかり書くことができれば、得点を取りやすかったでしょう。
一方で、表の読み取りが難しかった場合は、資料の読み取りが苦手になっていると考えられます。来年も資料の読み取り問題として表やグラフなどが出題されることが予想されるので、対策しておきましょう。
C問題
C問題では、与えられた資料はどちらも分かりにくく、また設問も抽象的だったため、どういう方向で文章を作ればよいか分からなかったかもしれません。
資料の内容を自分なりに読み取って、それを元に自論を展開していく必要がありました。そのため、比較的難しい問題だったといえるでしょう。
このような問題では、どれだけ自分で文章が作れるかが試されます。令和元年度の入試をC問題で受ける予定のある人は今回のような書きづらい出題になることを想定し、練習しておきましょう。
平成30年度 大阪府公立高校入試 作文・小論文
(平成31年度入試の対策)
例年、作文の問題は大問四(論説文)の一部として出題され、大問四の本文に関連した設問となっていたため、作文に取り掛かる前に本文を読んでおく必要がありました。しかし、平成30年度の入試では、作文は大問五として独立して出題され、本文には一切関係しない内容となりました。
出題形式については、昨年度と同様、いくつか指定された条件を満たしつつ、自分の意見を述べるという小論文形式です。
今年度は、全体的に条件の指示が漠然としたものになり、書く内容の自由度が高まった点が特徴的でした。そのため、例年のような指示された内容を順に書いていけば解答が完成するという問題ではなくなり、自分で文章を構成する必要がありました。これは、今までにない新しい傾向です。
制限文字数に関しては、B問題が300字から260字に減少しました。C問題は変わらず300字でした。
注1 Webで表示するため、「原稿用紙の正しい使い方」とは異なる改行などがあります。
以下、平成30年度 大阪府学力検査から抜粋
B問題
あなたは授業で、「インターネットの普及は私達に良い影響を与えているか」というテーマで討論をすることになりました。
次は、先生から出された、討論をする際の【指示の内容】です。
あなたなら、どのような意見を述べますか。あなたの意見を別の原稿用紙に二百六十字以内で書きなさい。
ただし、【指示の内容】に書かれている条件1・2にしたがって、文章を書くこと。
【指示の内容】
討論テーマ「インターネットの普及は私達に良い影響を与えているか」※普及=広く行き渡ること。
聞く人が分かりやすいように、自分の考えとその理由を明確に示しましょう。
自分とは異なる立場の考えや、自分の意見に対する反論などを想定し、それについてもふれましょう。
私は、インターネットの普及は、私たちに良い影響を与えていると考えます。なぜなら、インターネットによっていろいろな情報がすばやく簡単に入手でき、暮らしが便利になっているからです。
確かに、インターネットによる情報のなかには、悪い影響を与えるものも含まれているかもしれません。しかし、そのような有害な情報は、私たち自身が気を付けて避けることで触れずに済みます。
インターネットは、私たちが意識して上手に使うようにすることで、良い影響を受けることが出来ると思います。
私は、インターネットの普及は私たちに良い影響を与えていないと思います。なぜなら、私たちは、インターネットに夢中になることで、他にするべきことをおろそかにしてしまったり、不規則な生活になったりしがちだからです。
気を付ければそんなことにはならない、と考える人もいるかもしれません。しかし、多くの人は、スマホがあるとテスト勉強がはかどらなかったり、寝る前にスマホをいじっていて寝るのが遅れた、ということを経験したことがあると思います。
やはり、インターネットの普及は私たちに悪影響を与えている側面があると思います。
C問題
あなたは授業で、「インターネットと私たちの暮らし」というテーマで討論をすることになり、あなたの班は、「インターネットの使用には注意が必要だ」という意見を述べることになりました。
そこで、この意見の説得力を高めるために、発表で提示する資料やデータを班で探すことにしました。
あなたなら、どのようなことがわかる資料やデータがあればよいと考えますか。
あなたの考えを別の原稿用紙に三百字以内で書きなさい。
ただし、次の条件1・2にしたがって書くこと。
あなたがよいと考える資料やデータは、どのようなことがわかるものなのかを具体的に書くこと。
ただし、実在するものかどうかは問わない。
条件1で挙げた資料やデータと、あなたの班が述べる意見とがどのように関連するのかを明確にすること。
私なら、インターネットの使用には注意が必要だという意見の説得力を高めるために、インターネットの利用時間と学校の成績の関係を表したグラフを用意します。インターネットをより長く使用している生徒ほど成績が悪い傾向にある、ということを示すグラフです。
このグラフによって、スマホの利用時間、つまりインターネットの使用度合いが増えると、学校の成績が低下することがわかります。その上で、インターネットの使用によって日々の生活に悪影響が出る恐れがあることを指摘し、そうならないために、インターネットの使用には注意するべきだ、という意見につなげることができます。
私なら、インターネットの使用には注意が必要だという意見の説得力を高めるために、熊本地震のときにインターネットで拡散された「動物園からライオンが逃げ出した」というデマによって、被災した現地の人々が混乱してしまった事件についての新聞記事を用意します。
この記事によって、インターネットから入手した情報が必ずしも正しいとは限らず、誤った情報が広まってしまう場合があることを示すことができます。そして、インターネットで得た情報は、本当に正しいかどうか疑う必要があり、インターネットの使用には注意が必要だという意見に関連させます。
解説
全体
読解問題は多少急いで解くことも出来ますが、作文問題はおおよそ一定の時間がかかります。
そのため、限られた時間で可能な限り全体の得点を上げるために、作文に使う時間をあらかじめ決めておき、試験が始まったらすぐに作文から取り掛かると、時間が足りず白紙の問題がたくさん残ることを防げます。
作文問題で最も重要なポイントは、題意をおさえた解答を作成することです。求められている項目をもれなく書いていれば、作文問題で大きく失点することはありません。
慌てず問題をよく読み、何を聞かれているか、何を書けばよいかを冷静に判断しましょう。
問題文を読みながら、書くべき内容を簡単に箇条書きでメモすると、忘れにくくて良いでしょう。
B問題
インターネットが与える影響について、自分の意見を述べる問題です。
このような意見を述べさせる問題は毎年出題されています。
しっかり自分の意見を持ち(その場で思いつき)、表現できるようにしておきましょう。
この問題では肯定的、否定的、どちらの立場をとっても良いですが、あらかじめ文全体の構成を大まかに考え、条件2の内容が書きやすいほうを選ぶべきでしょう。
条件2では、「確かに~かもしれない。しかし…」「~と考える人もいるだろう。だが…」といった譲歩の構文を使えばスムーズに解けます。
C問題
与えられた意見を補強するための資料やデータを自分で考え出し、それについて論じる問題です。
この問題形式は昨年度までのものとは大きく異なるものでした。
例年のC問題の作文は、書くべき項目が多く、字数不足で悩むことはありませんでしたが、今年度の問題は書くべき項目がたったの二個で、300字書くことがかなり大変でした。
字数不足はかなり厳しい点数になりがちなので、字数が足りなくなりそうならできるだけ字数を稼いで調整できるように練習をしておくべきかもしれません。
今回、問題内容に変化はありましたが、論理的・客観的な文章が構成できるかどうかを問う、という基本的な問題の趣旨は一貫しています。受験勉強を通じて、論理的に思考できる力を養うことができれば、来年度の作文問題も冷静に取り組めるでしょう。
平成29年度 大阪府公立高校入試 作文・小論文
(平成30年度入試の対策)
平成29年度の入試では、長文問題の一部として出題されました。
平成28年度の入試では、文章の指定箇所に関する出題でしたが、平成29年度では、文章全体を踏まえた出題に変更されました。
このため、作文問題に取りかかる前に、文章全体の要旨を十分理解しておく必要があります。
また、出題内容については、昨年度と同様、いくつか指定された条件を満たしつつ、自分の意見を述べるという小論文形式となっています。
A・B問題については、同じ文章から出題され、Aでは160字程度、Bでは300字以内という制限文字数の違いがありました。
Cでは、長文の内容もより抽象的で難しくなり、300字以内で論理的に構成された文章を書かなければなりません。
注1ホームページで表示するため、「原稿用紙の正しい使い方」とは異なる改行などがあります。
以下、平成29年度 大阪府学力検査から抜粋
B問題
同じものごとであっても、全体をとらえたときと、部分をとらえたときでは、印象が異なることがあります。
このことをふまえて、あなたなら、ものごとを理解しようとするときに、どのようなことを心がけたいと考えますか。
あとの条件にしたがって、あなたの考え方を別の原稿用紙に三百文字以内で書きなさい。
最初に、全体をとらえたときと部分をとらえたときでは印象が異なる例を一つあげること。
次に、条件1であげた例について、全体をとらえたときと、部分をとらえたときとで、どのように印象が異なるかを書くこと。
さらに、あなたがものごとを理解しようとするときに、どのようなことを心がけたいのかを書くこと。
私が、全体をとらえたときと、部分をとらえたときとで、印象が異なると思うのは、魚の群れです。
以前水族館でイワシの群れを見たとき、水槽に近づいて一匹一匹のイワシとして観察すると、それぞれは小さく、か弱い小魚に過ぎないように見えました。しかし、少し水槽から離れて群れ全体を見ると、群れはまるで巨大な一つの生物のように雄大で、立派な印象を受けました。
魚の群れは、近づいて一匹一匹を見るときと、遠くから全体を見るときでは、感じ取れることが違います。他のものについても、部分だけ、全体だけを見るのではなく、両方を見てより深く理解するように心がけたいです。
私が、全体をとらえたときと、部分をとらえたときで、印象が異なると思うのは、大人数で行われるダンスです。
学校の運動会で、一学年全体によるダンスの披露がありました。音楽に合わせて大勢の生徒が見事に息を合わせて踊る様子は見ごたえがあり、感動しました。しかし、ふと一人一人を観察してみると、生徒ごとに少しずつ癖があり、個性があって面白く感じました。
大人数で行われるダンスは全体を見るときと、特定の生徒を見るときとでは感じ方が違います。ダンスに限らず、他のものを見るときにも、全体だけで見たり、部分だけで見たりせず、いろいろな視点を持って考えるように心がけたいです。
C問題
日米比較文化論とあるが、比較文化論では、二つの文化を比較する方法を用いて文化を論じます。
ある文化を理解するときに他の文化と比較することの利点と問題点をあげながら、文化を理解するということについてのあなたの考えを、別の原稿用紙に三百文字以内で書きなさい。
ある文化を理解するときに他の文化と比較することの利点は、他の文化との違いによって、ある文化の特徴がはっきり分かることがあげられる。
一方で、問題点として、ある文化と他の文化が根本的に異なる事柄については比較ができないことがあげられる。
文化を理解するには、むやみに自分の文化と比較するのではなく、自分と異なる考え方があることを理解し、他の文化を尊重することが重要だと考える。確かに、自分の文化と全く異なる文化に直面すると、違和感を覚え、理解に苦しむだろう。しかし、拒絶していては、他の文化を理解することはできない。
他の文化を理解するということは、自分と異なる考え方を認めるということであるといえるだろう。
二つの文化を比較することの利点は、比較することによって、その文化独自の特徴に気付くことができることだ。
例えば、日本では食べる前に「いただきます。」と言うのに対し、欧米にはこのような習慣はない。この違いによって、日本人の食に対する考え方が明らかになる。
二つの文化を比較する問題点は、ある文化の考え方が、他の文化と全く違い、比較にならない場合があるということである。
文化が違うということは、目に見える生活様式だけでなく、価値観や考え方も違うということである。その国の歴史や宗教なども学び、精神的な面も含めて文化を理解しようとすることが重要だと考える。
解説
B問題
B問題は、本文のテーマである「全体をとらえる」と「部分をとらえる」に関連して、ものごとの例を一つあげ、それぞれのとらえ方での印象の違いについて論述し、さらに結論として、ものごとを理解しようとするときにどのようなことを心がけたいかを書くという問題になっています。
文章の中で対比を活用して、それぞれのとらえ方での印象の違いを説明したり、書いた内容に関連した適切な結論を述べる必要があるなど、論理的な文章を構成する力が問われます。
本問での条件3は本文の結論に合わせて「全体と部分の両方でとらえることを心がけたい」などとするとまとまりがよく、適切です。
今回の問題を解くには、文章で述べられている、桜と梅の例を理解し、書き始める前に、同様の事例を見つけ出さなければなりません。
すばやく適切な事例を見つけるには、訓練が必要です。
今回のような、事例を考えさせる問題に限らず、作文や小論文では、「例えば」などと事例を組み込むことで、説得力のある文章を書くことができます。
事例を使って文章を書く練習をすると良いでしょう。
また、今回の問題文は難解で、条件も多く設けてあるので、問題文の内容を理解し、どのような文章が求められているかを判断するためには、思考力・読解力が必要です。
普段の国語の学習で十分に実力を身に付けておきましょう。
平成28年度 大阪府公立高校入試 作文・小論文
(平成29年度入試の対策)
平成28年度の入試では、長文問題の一部として出題されました。長文中のある一部分の文章について、自分の意見を述べるという小論文形式となっています。
AB問題については同じ長文から出題され、Aでは160字前後、Bでは300字以内という制限の違いがありました。
Cでは、長文の内容もより抽象的で難しくなり、いくつか指定された条件を満たしつつ300字以内で文を書かなければなりません。
注1ホームページで表示するため、「原稿用紙の正しい使い方」とは異なる改行などがあります。
以下、平成28年度 大阪府学力検査から抜粋
B問題
適切な言葉遣いができる「会話の達人」になるためには、やはり努力の積み重ねが必要です。
その第一歩は、言葉遣いに意識的になること。
自分の言葉はもちろんのこと、他人の言葉遣い、書物やメディアなどに出てくる表現も意識することです。
そして、特に人とやりとりする中から大いに学び、改善すべきところは改善し、わからないことは辞書などで調べるなどして、言葉遣いを磨くことです。
本文中のIで示した箇所では、適切な言葉遣いができるようになるための努力について、筆者の考えが述べられています。
この筆者の考えをふまえて、あなたなら、適切な言葉遣いができるようになるために、今後どのようなことに取り組んでいきたいと考えますか。
あとの条件1・2にしたがって、あなたの考えを別の原稿用紙に三百字以内で書きなさい。
あなたやあなたの周りの人たちの言葉遣いに対するあなたの考えを書くこと。
次に、最初に書いたあなたの考えをふまえて、あなたが今後取り組んでいきたいことを一つあげ、その取組みが適切な言葉遣いにどのようにつながるのかについて書くこと。
友人は実際にはそれほど気持ち悪く無いことに対しても、冗談交じりで「きもい」という言葉をよく用います。
しかし、傍から聴いている私にとっては、その言葉はあまり気持ちの良いものではありませんでした。
感情の度合いに関わらず、全てを「きもい」の一言で表現すると、話し手と聞き手で認識の違いが起こるため良くないと思いました。
このことから、私は自分の感情を適切に相手に伝える言葉遣いを身につける必要があると感じました。
そのためにも様々な本を読むことを通じて、多様な感情を表す言葉に触れて、それを少しずつ自分のものにしていきたいと思います。
私は、仲の良い学校の先生に対して敬語を用いずに話すことが多々ある。
しかし、友人は同じように先生と仲が良いが、常に敬語を使って会話している。
そうした彼の言葉遣いと比較すると、私の話し方には少し問題があると思う。
これから私は、彼の話し方や大人の人同士の会話の仕方を意識して聞くようにしたい。
大人はたとえ親しい私人関係にあったとしても、公の場においては相互に最低限のマナーとして敬語を用いる。
それが社会的に正しいとされているからだ。
私もそうした人々の会話から学ぶ中で、少しずつ自分の話し方を改善していき、適切な言葉遣いを身につけていきたい。
私の言葉遣いの問題点は、表現力に乏しく自分の気持ちを上手く言葉にすることができないことだ。
友人から、本やドラマ、映画、テレビ番組の感想について尋ねられても、いつも「面白かった」、「楽しかった」、「感動した」といった単調な返答しかできない。
結果として相手も聞いていてつまらないので会話が弾まない。
私はこれから他の人が使っている感情表現や言葉を意識して聞くようにしたい。
当然ながらそこで聞いた言葉を全て自分のものにすることは不可能である。
しかし、それらを少しずつでも発言の中に取り入れていくことが、自分の表現力を豊かにしていくだろう。
C問題
私たちの心は、自分だけしか知りえないという意味で、個に閉じたものだ。
しかし、その心はまた、他者の心を読むための機能を持つものとして、私たちに備わっている。
その機能ゆえに、私と他者はつながれ、閉じた個から他者へ、さらには社会へと広がっていく。
他者を理解し意味づけること、共感的理解に基づく関係や秩序ある社会集団を維持することは、他者の心を読むことの上に成り立っている。
私の心が他者の心を読み、他者の心が私の心を読むことにより、私たちそれぞれは、個であることを超えて、社会という、人と人とのつながりの中に組み込まれていくのだ。
次は、他者の心を読むという行為に関連して、他者の心を読むときの二つの方法について述べたものである。
方法Aまたは方法Bのどちらかについて利点と問題点とをあげながら、他者の心を読むということについてのあなたの考えを、別の原稿用紙に三百字以内で書きなさい。
自分の心を手がかりにして他者の心を読むという方法。
他者がおかれている状況に自分自身をあてはめたうえで、これまでの経験をふまえて自分自身の考えや感情、態度などを把握し、他者と自分と同じような心の状態であると考えて、他者の心を理解しようとする。
他者の心や他者のおかれた状況の特性についての知識を適用して他者の心を読むという方法。
自分自身が経験したことのない事柄でも、ある状況が引き起こす心の状態や、心の状態と行動との関係などについて、一般的な知識を活用して他者の心を理解しようとする。
方法Aの利点は、他者のおかれている状況を自分にあてはめて考えるので、心境が想像がしやすく感情移入しやすい点が挙げられる。
一方で問題点として、自分が経験したことのない状況における心を理解することが難しい点が挙げられる。
他者の心を読むことは私たちが社会生活を営む上で必要不可欠な行為だ。
他者と会話をする、遊ぶ、交流する、共に仕事をする時、私たちは常に相手の心を推測しながら行動している。
そして、こうした行為の積み重ねこそが自身の新たな社会経験となり、結果としてより正確に他者の心を読むことが出来るようになっていく。
人は他者の心を読むことにより社会的に成長し、それは社会全体を良いものへと導いていくといえるだろう。
方法Bの利点は、人生経験が少ない若者でも、一般的な知識を活用することでその欠点を補い、他者の心をある程度理解できることだ。
一方で問題点としては、知識の無い事柄に関しては他者の心を読むことが出来ない点が挙げられる。
他者の心を読むことは、社会の中で生きていく上で不可欠である。
例えば、文化祭等でクラスで一つのことをやり遂げる場面を考えてみたい。
それを成し遂げるには、たとえ自分の思い通りに事が進まなくても、同級生の考えを理解した上で自身の行動を変えていく必要があることは明白だ。
このことは、学校に限らず会社で働いていく中でも同じである。
心を理解することは、相手を知るためだけにあるのではない。
社会を動かしていくために無くてはならない行為だ。
方法Aの利点は、自らの経験則に基づいて考えることにより、他人の心に対する理解度が深まることが挙げられる。
一方で問題点としては、主観を交えて判断するために他者への理解に個人差が生じてしまうことが挙げられる。
他者の心を読むことは、秩序だった社会生活を営むことにおいて必要な行為である。
また、そうした社会生活の中での人生経験は、他者への理解をより深めることだけでなく、自らを他者に理解してもらうための振る舞いを学ぶことにもつながる。
心を理解することは、人と人とのつながりで成り立つ社会をよりよいものにするだけでなく、自分自身を成長させるための手段の1つともいえるだろう。
2017年以前に出題されたテーマ
私の 大切 にしているもの
近づく春
日曜日
わたしの好きな動物
水
学校生活で得たもの
あいさつ
友達
私が感動したこと
心に残った出会い
出発
笑顔
あこがれ
自然と私
心のふれあい
感動
信頼
心温まる行い
私の出会い(クラスのみんなの前で話すとしたら)
私が誇りに思うこと
春夏秋冬の中からもっとも好きな季節について
わたしの好きなことば
「ことばのもつ力」について
思いやりの心
輝き
私が美しいと思うもの
ことばと私
道
いのち
発見
明日
大切にしたい気持ちや態度を表す漢字1字
好きな季節とその理由
好きだと思う身近な風景
宇宙
かけがえのないもの
包む
磨く
以前は『友情』や『価値観や考え』が頻出のテーマだったが、直近の数年間では傾向が変わっている。
愛知ゼミナールの国語作文対策
平成30年度入試のような作文問題の形式において、対策を取る上で難しい点は、単に「作文の練習をする」だけではなく、「文化・モラル・経済・国際社会など、様々な分野の知識を増やす」ことも必要なところではないかと思います。
新聞を読む・ニュースを見るというのが最良の方法ですが、かなりの時間を要します。
今回のような作文問題の形式は、これまで、「大阪教育大附属池田中学校」の入試でも出題されています。
そのため、当塾では以前からその形式にぴったり合った問題集を使用して練習してきました。
例題50個の中で優先順位を決めて取り組みます。
一つ一つの例題には、作文を書くために必要な知識事項がまとめてあり、効率よく学んでいけます。
大阪府公立高等学校の入学試験では、国語の問題の最後に、作文(小論文)
問題が出題されます。
受験生は、限られた時間内でまとまった文章を書かなければなりません。
対策・練習をしておくべきでしょう。
作文の注意事項
(1) 2~3段落構成にする
設問の指示に従って、書くべきことを段落に分けて書く。
(2) 指定字数内にまとめる
公立高校の入試では、260字または300字以内に収めるよう指示される。
少なくとも指定字数の8~9割は書く。
(3) 内容、表記
・段落は1字下げで始める。段落分けしていないのに、1字下げとしない。
・文の終わりは句点『。』を打ち、次の文はその後につける。
段落分けするとき以外に改行しない。
・文頭の接続詞の後や意味上の区切りなどに読点『、』を打つ。
・文は極力短くし、だらだら書かない。
・文体は全文一致させる。「だ」「である」(常体)または「です」「ます」(敬体)
・同じ接続詞ばかり使わない。「けど」は「けれど」になおす。
・「~。なので…」を使わない。「~なので…」は可。
・「!」や「?」を使わない。
・助動詞や形式名詞の「する様に」「こんな事」は漢字にしない。
以上が課題作文に関する注意ですが、ぜひ参考にしてみてください。皆さんの受験本番での健闘を祈ります。